1842年から1997年まで、英国の植民地だった香港は今でも英国の風情を残しています。
国際都市のイメージも強い香港ですから、当然ながら英語が堪能な人は多い・・・と思われがちですが、実は、英語は苦手で話せないという若い人たちも、結構います。
というのも、1997年の返還時に、広東語を母国語とした教育に切り替わったからなのだとか。
日常的には、広東語で全てが事足りますから、仕事で使うことがなければ、日本人と同じで英語は学校で習っても、流暢に話せるわけではないんですね。
0イングリッシュは、2015年〜17年にかけて、毎回2週間程度、年に3回くらいの頻度で、香港に仕事で通いました。
そんな香港の英語事情を、0イングリッシュ的に解説していきたいと思います。
香港英語の効果!
0イングリッシュが、香港に通いまくってよかったと思った理由の1つは、英語力が格段にアップしたことです。
もちろん、他の英語圏でもそれは可能だったのかもしれませんが、香港英語の特徴であるとにかく速い英語に耳が慣れたことで、帰国してから海外ドラマの英語が、前より聞き取れるようになったことに驚きました。
とにかく香港の英語は、速い!
広東語のリズムやイントネーション、スピードがそうさせるのかもしれません。
最初に聞いたときは、びっくりしてしまいました。
香港の小学生のテキストは日本の中学生並みのレベル!
ある夜、仕事が終わって20時頃、路面電車のトラムで北角(North Point)のホテルに帰っていた時、小学校4年生くらいの男の子がトラムに1人で乗っていました。
香港は治安がいいので、夜も1人で歩けます。
もちろん、治安が悪い場所はあるかもしれませんが、感覚的には、日本の夜の街を歩く感覚と変わりません。
日本だって、治安が悪そうな場所には、わざわざ入っていきませんよね。
そんな感じで、香港の夜の街も、危なくない場所なら、普通に歩けます。
その男の子は、トラムの中で教科書を開いていました。
「遅いなあ、塾の帰りかな?」と思って見ていると、教科書は英語でした。
みっちりと英語が書いてあって、日本の中学生レベルの教科書でした。
ちょうどその頃、日本で留守番をしてくれていた我が家の長男は4年生。
その子と同じ歳の頃でしたが、長男は、学校以外で英語は習っていませんでしたから、息子がその子が読んでる英語の教科書が読めないのは、明らか!
びっくりしてしまいました!
香港のその子と息子は、明らかに英語のレベルに差がある状態で、同時期に社会に出ていくんだろうな・・・と思うと、日本の英語教育の遅れを、香港の夜のトラムで実感せざるを得ないのでした。
香港の英語はアメリカ英語か、イギリス英語か?
香港は、かつて英国領だったわけですから、当然ながらイギリス英語を話す人が多いのでは?と思われますね。
ですが、実際には、想像とはちょっと違います。
というのも、香港は国際都市化していますから、アメリカ英語を話す環境というのも当然ながらあるのです。
ですから、人によっては、流暢なアメリカ英語を話す人もいます。
もちろん、イギリス英語を話す人もいます。
逆にいうと、日本でイギリス英語を話すって、よほどイギリスに縁がない限り、スタンダードとは言えませんね。
それより、イギリス英語を話す人口は多いので、香港でイギリス英語は1つのスタンダードであるのは確かです。
だけど、普通にアメリカ英語の環境で英語力を育てた人は、アメリカ英語を話すよね、っていうのが現場からの印象です。
ですから、全員がイギリス英語を話すということはありません。
そんな、英語事情の香港ですが、文字表記は、イギリス英語表記が基本です。
アメリカ英語 | イギリス&香港英語 |
color | colour |
center | centre |
labor | labour |
また、エレベーターでは、1階がグランドフロアーと呼ばれます。
日本でいう2階が、1階。
この辺りは、イギリス文化が受け継がれていますね。
ちなみに香港のエッグタルトはとっても美味しかったです。街の中には、イギリス文化の名残がたくさん感じられます。
香港英語の文章の最後につく“la”ってなに?
香港の友人たちと、チャットしていると、よく「OK, la!」「It’s so cool la!」など、文章の最後に“la”がつくことがあります。
最初は、何かの略か、私が知らない特殊な英語か・・・などと思ってたのですが、思い切って聞いてみたところ、それは「〜ね!」「〜だよね!」という意味だということ。
「OK, la!」(オッケーよ!) 「It's so cool la!」(すっごいクールだよね!)
大体こんな意味になります。
仲良しの友達の間では、語尾に“la”を使って会話している香港の若者たち。
“la”って、とってももかわいい響きですね。
広東語を話す人が英語が得意な理由
というわけで、日本人が思っているほど全員が英語を話せるわけではない、また全員がイギリス英語なわけじゃないというのが、香港の英語事情です。
ただ、当然ながら、日本人より英語への親和性は高いです。
それは、上に挙げたように、小学校での英語教育の質が、日本とは雲泥の差であることも影響しています。
ですが、もう1つ、決定的な理由があります。
というのも、広東語は英語と語順が一緒で、どちらも、S(主語)+V(述語)+O(目的語)の順で話されます。
ですから、広東語と英語の文法は、基本的には同じなのです。
日本語は、S(主語)+O(目的語)+V(述語)です。
日本語では、時々、S(主語)も抜けちゃいますし、この文法の違いが、日本人の英語へのハードルを高くしている理由の1つでもありますね。
世界の英語を楽しもう!
世界の英語事情はとっても奥が深いです。
ネイティブ英語にこだわらず、世界の英語事情を知ると、英語はますます楽しくなりますよ。
香港英語から、英語がもっと好きになれるかも!
あいうえおの5つの母音しかない日本語を話す日本人にとっては、15もある英語の母音は聞き取りずらいと言います。一方、広東語や中国語のように、英語より母音が多い言語を話す人たちは、英語を聞く力も長けています。言語って本当に奥が深い!